
JR名松線〜90年の歴史
JR名松線(めいしょうせん)は、三重県松阪市の松阪駅から津市美杉町の伊勢奥津駅までを結ぶJR東海の鉄道路線です。
開業までの経緯
- 1920年代〜1930年代
地域振興と木材輸送の需要を背景に計画されました。名松線という名前は「松阪」と「名張」を結ぶ計画から来ていますが、実際には名張まで延伸されることなく未成線となりました。 - 1935年(昭和10年)
松阪~権現前(現・権現前駅付近)まで開業。 - 1937年(昭和12年)
家城駅まで延伸。 - 1938年(昭和13年)
終点の伊勢奥津駅まで全通。
戦後から国鉄時代
- 戦後は木材輸送や地域住民の足として活躍しました。
- しかしモータリゼーションの進展や人口減少で利用者は減少。赤字ローカル線の一つとして存続が課題になりました。
JR東海発足以降
- 1987年(昭和62年)
国鉄分割民営化によりJR東海に継承。 - 1990年代以降
利用者減少が進み、一時は廃止議論もありましたが、地元の存続要望で維持されました。
大雨による不通と復旧
- 2009年(平成21年)10月
台風18号などによる大雨で家城~伊勢奥津間が大きな被害を受け、不通となりました。バス代行輸送が長期に続きます。 - JR東海は当初「鉄道での復旧は困難」とし廃止検討の声もありましたが、地元自治体や住民の強い要望を受け協議。
- 2016年(平成28年)3月26日
約6年半ぶりに家城~伊勢奥津間が鉄道として復旧し、名松線は全線運転再開しました。
現在
- 線路距離は約43.5km、全19駅。
- 運行は1両または2両編成のディーゼルカー(キハ11系・キハ25形など)で、ローカル線らしい風情があります。
- 利用客は多くないものの、美杉地域の住民の生活路線であり、観光資源(桜、紅葉、森林など)を活かした利用促進も行われています。
👉 名松線は「幻の未成線」と「奇跡の復活」を持つ鉄道として、地域鉄道史の中でも特徴的な存在です。
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